その他の結膜の病気

翼状片

目頭の方から、白目を覆う結膜が部分的に黒目へと入り込んでしまう病気です。
鏡で見るとすぐに分かります。また、侵入した結膜にはたくさんの血管があるため、黒目部分が充血しているように見えたり、腫れたりすることがあります。

<翼状片の症状①>

翼状片①

<翼状片の症状➁>

翼状片➁

翼状片の原因

はっきりとした原因は解明されていませんが、紫外線の曝露が影響しているのではないかと言われています。
実際に、農業・漁業など、屋外で働き紫外線を浴びる時間の長い人に発症しやすい傾向があります。

翼状片の症状

初期症状は、見た目の変化(白目の黒目への侵入)のみであることがほとんどです。
進行して侵入範囲が広くなると、充血、ゴロゴロとした異物感、腫れなどの症状が見られます。
通常痛みはありません。 さらに進行すると、黒目が結膜に引っ張られ、乱視や視力低下などの症状が現れることがあります。放置していると、視力まで低下します。

翼状片の治療

見た目が気にならず、それ以外の症状もないようでしたら、経過観察に留めます。
充血や異物感などの軽度の症状がある場合には、点眼薬(目薬)を用いた対症療法を行います。
根本的な治療のためには、手術が必要です。どうしても見た目が気になる場合、進行し乱視が発生している場合には、増殖組織を切除して行うのではなく、増殖組織を切除せずに行える手術を行います。
手術後、充血や異物感といった症状がしばらく続きますが、次第に軽快します。再発した場合には、再手術を行います。

手術について詳しくはこちら

 

アレルギー性結膜炎

結膜炎は大きく、細菌性結膜炎、ウイルス性結膜炎、アレルギー性結膜炎に分けられます。
アレルギー性結膜炎は、花粉やハウスダストによるアレルギーによって起こる結膜炎です。花粉・ハウスダストに対して身体が過剰に反応することで、目の充血やかゆみなどの症状を引き起こします。
私たちの生活環境が清潔になり、身体に備わった防御機能が本来の敵以外の物質にまで過剰に反応するようになったことで、アレルギー性結膜炎を含むアレルギー性の病気は増加傾向にあります。

アレルギー度チェックシート

アレルギー性結膜炎の種類

花粉症

スギ、ヒノキ、ブタクサなど、花粉がアレルゲンとなって発症します。
その人にとってアレルゲンとなる花粉が飛散する時期のみ症状が現れることから、季節性アレルギー性結膜炎と呼ばれます(鼻の症状が出ている場合には「季節性アレルギー性鼻炎」)。
体内に入ってきた花粉に身体が過剰に反応し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が多量の放出されることで、症状が引き起こされます。
主な症状として、目のかゆみ、充血、異物感、目やにが挙げられます。約70%で季節性アレルギー性鼻炎を合併し、その場合は鼻水・鼻詰まり・くしゃみなどの症状も見られます。

<季節ごとのアレルゲン物質表>

季節ごとのアレルゲン物質一覧

<花粉の発散時期と関連する食べ物>

アレルゲン物質を含む食物一覧

ハウスダストによる
アレルギー性結膜炎
(通年性アレルギー性結膜炎)

ダニ、ペットのフケ、埃、フケ、カビ(真菌)などのハウスダストを原因として発症します。
近年は気密性の高い建築物が多いため、小まめに掃除を行わないと、これらハウスダストが増えてしまう・体内に入ってしまう可能性が高くなります。
季節を問わず、アレルゲン物質がある限りは症状を引き起こすため、「通年性アレルギー性結膜炎」とも呼ばれます(鼻の症状が出ている場合には「通年性アレルギー性鼻炎」)。 主な症状には、季節性アレルギー性鼻炎と同様、目のかゆみ、充血、異物感、目やにが挙げられます。

春季カタル

アレルギー性結膜炎の慢性重症型を「春季カタル」と呼びます。
“春季”とありますがこれは“若年者”の意で、症状は1年中現れます。強い目のかゆみ、結膜の凹凸、異物感、やけに光がまぶしいといった症状が見られます。炎症が強い場合には、角膜に混濁が生じたり、混濁部分の上皮が剥がれ落ちたりすることもあります(角膜びらん・角膜潰瘍)。
特に、小学生の男子に好発します。またしばしば、アトピー性皮膚炎を合併します。

巨大乳頭結膜炎

適切に装用・管理されていないコンタクトレンズに付着したタンパク汚れに対するアレルギー症状として発症します。
主な症状として、ゴロゴロとした異物感、目やにが挙げられます。重症化した場合には、コンタクトレンズが上方にズレやすくなります。

アレルギー症状のしくみ

<アレルギー症状のしくみ>

アレルギー症状の仕組み

アレルギー検査

<アレルゲン物質一覧表>

アレルゲン物質一覧表

<屋内・屋外におけるアレルギー発生源>

アレルギー発生源

採血によるアレルギー検査(View39)

39項目のアレルギーを1度の少量の採血(0.9mL)で検査することができる血液検査「View39」があります。 検査結果は約1週間後にわかります。

アレルギー性結膜炎の
治療方法と対策

<アレルギー性結膜炎の治療方法>

アレルギー性結膜炎の治療

洗眼薬などによるセルフケア

抗原(花粉・ダニなど)を回避・除去するためのセルフケアをご紹介します。

花粉防止策として眼鏡を着用する男性

眼鏡などを着用し、抗原が目に入らないようにします。

洗眼薬で、目に入った抗原を洗い流します女性洗眼薬で、目に入った抗原を洗い流します(洗眼)。

抗原を除去し、室内環境を整える

室内の環境を整えて、抗原を取り除きます。

花粉を室内に持ち込まないようにする男性抗原が花粉の場合は、室内に持ち込まないようにします。

初期療法

症状の出やすい時期が予測できる季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)の場合には、「初期療法」という治療が有効となります。
症状が出る前、アレルゲンである花粉が飛散する約2週間前から(あるいは少しでも症状が出たタイミングで)、抗アレルギー点眼薬(目薬)の使用を開始します。 これにより、花粉の飛散が増え、ピークを迎えても、症状を抑えられる可能性が高くなります。
毎年花粉症に悩んでいるという方は、症状が出てからではなく、症状が出る1カ月くらい前に大阪市旭区のうえの眼科にご相談ください。抗アレルギー点眼薬(目薬)は、副作用の少ない薬です。

プロアクティブ点眼(目薬)+ステロイド点眼薬(目薬)
の併用

かゆみなどの症状を軽くするための薬物療法を行います。 抗ヒスタミン薬やケミカルメディエータ遊離抑制薬の点眼薬(目薬)が中心となります。
また重症例では、ステロイド点眼薬(目薬)や免疫抑制点眼薬(目薬)の使用も検討します。

目のかゆみの発生を
おさえるために

下記のような状況にならないように、上述した各種治療を行います。

目のかゆみの症状

点眼方法について

用法通りでない点眼の例

点眼は上記のように症状が出た時に行うのではなく、下記のようなプロアクティブ点眼(痒みが起きてから点眼するのではなく、痒みの発生をおさえるための点眼)を行います。

用法通りの点眼

結膜下出血

結膜下出血白目の表面を覆う膜のことを「結膜」と言い、ここには大小の血管が多数あります。この結膜の小さな血管が破れて出血した状態が「結膜下出血」です。白目部分に点状、斑状、あるいは全体に広がる出血が外から認められます。見た目には驚きますが、眼球内に出血が入ったり、視力が低下したりする心配はありません。
症状は基本的に、見た目の変化のみとなります。

結膜下出血の原因

外傷・手術・ウイルス性結膜炎・結膜弛緩などの局所的な原因、白血病・血小板減少性紫斑病・高血圧・糖尿病・人工透析などの全身性の原因が挙げられます。
ただし、はっきりとした原因が特定できないケースも少なくありません。その場合、実際には嘔吐、咳、くしゃみなどによる急激な静脈のうっ滞が原因になっているものと考えられます。

結膜下出血の治療

軽度のものであれば、出血は10日ほどで自然に吸収されます。出血が多い場合には時間がかかりますが、こちらもやがて血液は吸収されます。
目の外傷による結膜下出血の場合、頻繁に繰り返される場合、出血に加えて痛み・かゆみ・目やにを伴う場合には、大阪市旭区のうえの眼科を受診してください。
高血圧や糖尿病、あるいは白血病などの全身の病気が疑われる場合には、各専門の医療機関をご紹介します。