ドライアイ
ドライアイとは
ドライアイは、目を守るのに欠かせない涙の量が不足したり、涙の質のバランスが崩れることによって涙が均等に行きわたらなくなる病気であり、目の表面に傷を伴うことがあります。いわばドライアイは涙(※1)の病気といえます。高齢化、エアコンの使用、パソコンやスマートフォンの使用、コンタクトレンズ装用者の増加に伴い、ドライアイ患者さんも増えており、その数は2,200万人ともいわれています。

- (※1)涙
涙腺で作られた涙は、まばたきをするたびに一定量が目の表面へ送られ、眼全体を潤します。その後、わずかに蒸発しながら涙の排出口である涙点という穴を通して排出されます。涙点は目頭の上まぶたと下まぶたの内側にそれぞれあります。
ドライアイの症状
目が乾くなど典型的なドライアイ症状だけでなく、様々な症状に悩まされています。


ドライアイの原因
- 加齢
- 加齢にともなう涙量の減少や安定性の低下などが指摘されています。
- 性別
- 男性よりも女性の方がドライアイになりやすいといわれています。
- 乾燥した環境
- 空気が乾燥する冬には、目の表面からの涙の蒸発量が増えてドライアイになりやすくなります。また、夏でもエアコンによる乾燥がドライアイの原因になることがあります。特に、エアコンから吹き出す風が直接あたると症状が悪化します。
- VDT(Visual Display Terminals)作業
- パソコンや携帯端末などのモニタ画面を見つめる作業を長時間行うと、まばたきの回数が極端に減るためにドライアイが起こりやすくなります。
- 喫煙
- たばこの煙に曝されると、涙の質が悪くなります。
- コンタクトレンズ
- コンタクトレンズを装用すると、水分の蒸発量が増えてドライアイになりやすくなります。特にソフトコンタクトレンズでは、まばたきのたびに目の表面とレンズの間で摩擦が生じ、炎症が引き起こされるため、目の乾燥感が増加します。また、レンズに汚れや傷があると、涙の安定性が悪くなったりムチンの分泌が低下したりするため、ドライアイの原因になります。
- マイボーム腺機能不全
- 眼瞼の縁にあるマイボーム腺の詰まりが原因で、油成分の分泌が低下します。
- 結膜弛緩症
- 加齢に伴う、結膜部分(白目の部分)の弛緩のため、眼表面に涙が留まりにくくなり、また、弛緩した結膜と眼球の摩擦により眼表面が傷つきやすくなります。
- 内服薬の副作用
- 抗コリン作用のある精神疾患薬などで、涙の分泌量が減少することがあります。また防腐剤が入っている点眼液の影響で角膜に傷がつくこともあります。
- シェーグレン症候群
- 中年の女性に多い自己免疫疾患で、涙腺や唾液腺などが破壊されて、涙や唾液が分泌されなくなります。そのため、悲しくても涙は出ません。重症の場合、目が開けられないほどの痛みを伴うことがあります。
ドライアイの検査
スリットランプと呼ばれる顕微鏡を使って、フルオレセインという染色液を少量点眼することがよく行われます。涙の安定性、目の表面の角膜や結膜の状態をみます。傷があるとその部分が染まって見えます。また、同じ染色液で涙の安定性を調べる検査(涙液層破壊時間:BUT検査)も同時に行われます。瞬きをしないで目を開けたままにして、涙の層がどのくらいの時間で乱れるかを調べる検査です。
いずれの検査も外来で行われ比較的短時間で終わり、強い痛みなどは感じません。

ドライアイの治療

- 1点眼治療
- 症状が軽い場合は、潤いを持たせる点眼薬で緩和させることができます。人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分を分泌促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)が用いられます。
- 2涙点プラグによる治療
- 涙がかなり少なく重症の場合は、涙点に栓をすることで涙が目の表面に留まるようにさせることができます。涙点プラグには、シリコーン製のプラグと、液状のコラーゲンプラグの2種類があります。
- シリコーン製プラグ
シリコーン製プラグの直径は0.5〜1.0mm程度で、患者さんの涙点の大きさに合わせてサイズを選択して挿入します。麻酔をするので痛みもなく、外来にて短時間で施術できます。定期検査で状態を確認し、涙がたくさんあふれてくるようであればプラグを抜くなどして調節もできます。
- 液状コラーゲンプラグ
液状コラーゲンプラグ(キープティア)は、低温では液体ですが、注入してから15分ほどで体温によってゼリー状に固まり、涙点を塞ぎます。麻酔をするので痛みもなく、外来にて短時間で施術できます。時間が経つにつれて少しずつ分解または排出されるので、3ヶ月程度効果が続きます。冬場の乾燥した時期だけプラグをしたい方などにおすすめです。
涙点プラグによる治療費用 | |
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施術時間 | 点眼麻酔:片眼約5分 |
治療費用 | 1割負担の場合 片眼 1涙点(約1,100円) 2涙点(約1,500円) 3割負担の場合 片眼 1涙点(約3,300円) 2涙点(約4,500円) |
詳しくはスタッフまでお問い合わせ下さい。
- 3温罨法
温罨法(おんあんぽう)は、眼の周辺を温めることで、マイボーム腺のつまりを緩和します。国際標準治療として以前から効果が認められているご自宅でのケアです。これは、マイボーム腺の脂をとかす、まぶたの血流を改善するなどの目的で行うものです。
実際に温罨法を行うと “気持ちいい” “目が楽になる” “目があけやすくなる” など実感がわくことによりそのニーズがあるからだと考えています。
まぶたを温める
マイボーム腺の脂をとかし、まぶたの血流を改善します。まぶたとマイボーム腺周囲の温度をある程度上昇させ、一定時間保つことが重要です。


POINT
- まぶたをじっくり38℃前後で5分間温めます
- 温めたあと、まぶたを指のはらでやさしくマッサージします
- 1日5分、朝晩の2回行うと効果的です

LIME研究会のサイトで、温罨法の行い方の動画がご覧いただけます。
- 4悪化要因の除去
長時間のVDT作業や運転では、瞬きの回数が減るのでドライアイ症状を悪化させます。適度の休みを取ることが目の健康に重要です。また、涙の状態を悪くさせる内服薬、コンタクトレンズ装用などを減らすことも一つの手です。
- 5その他
目の保湿を図るために、加湿器を用いたり、エアコンの設定を変えるなども有効です。市販のドライアイ専用眼鏡の使用やメガネの周りに覆いを付けることも目の周りの湿度を上げるのに有効です。
ドライアイの予防
ドライアイの多くは、VDTの長時間使用などのライフスタイルが影響していることが多いので、日々の注意でドライアイにならない、悪化させないことが大切です。
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1目の乾燥対策をしましょう
目が乾くと眼精疲労が進みます。目の乾燥を防ぐには次のことを意識しましょう。
- まばたきの回数を意識して増やし、涙で目をうるおす。(※2)
- 加湿器をおくなど、部屋の乾燥を防ぐ。
- エアコンの風に直接当たらない。
- コンタクトレンズをやめてメガネをかけるようにする。
当院ではサプリメントとして、オプティエイドDEやサンテウェルビジョンをご用意しています。
- (※2)まばたきの回数を意識して増やし、涙で目をうるおす。
画面を集中して見ている時に、人は、まばたきの回数が減ってしまいます。一般的には通常1分間に20~30回程度まばたきをしていますが、画面を凝視している人は、その回数が4分の1に激減してしまうといわれています。
画面に集中していることに気づいたら、瞬きをするように心がけましょう。
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- ≪眼輪筋トレーニング≫
パソコンやスマホの影響でまばたきが不完全になり、涙に必要な水分、脂分が目の表面に行き渡らないドライアイが増えています。瞼の筋肉である眼輪筋を鍛えて、涙の質を高めましょう。NHKあさイチでも紹介された、眼輪筋トレーニングにぜひチャレンジしてください。
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2パソコン作業の工夫
作業する環境や方法、時間に留意します。
- 距離を調節する
目とパソコンの画面の間が、40cm以上になるよう画面の位置を工夫し、作業姿勢を正しくします。この距離で見やすいように、必要に応じて適切なメガネで視力を矯正しましょう。
- 環境を調節する
室内の照明を、ディスプレイ画面上は500ルクス以下、書類やキーボード上は300ルクス以上になるよう調整します。太陽光が画面に入り込まないよう、ブラインドやカーテンを使用します。
- 目を休める
パソコンで1時間の連続作業をしたら15分程度の休みをとります。休憩が難しい場合は、コピーをとるなど他の仕事をはさんだり、窓の外をぼんやり見たりして、目を休める工夫をしましょう。